海洋プラスチック汚染の問題は世界的な課題であり、プラスチックごみを削減するための国際条約策定をめざし政府間交渉委員会(INC)が開催されています(※1)。プラスチックによる汚染は不適切な収集や処分が原因とされており、新興国や途上国における分別収集・リサイクル、適正処理の構築が喫緊の課題です(※2)。
こうした中で、経済学部教授 佐々木創が参加するJICA/JST連携SATREPS事業「東南アジア海域における海洋プラスチック汚染研究の拠点形成」(研究代表者:九州大学教授 磯辺 篤彦)において、市民の廃棄物分別の行動変容を明らかにするための社会調査を実施します(※3)
同調査では、タイ最大の資源回収企業であるWonpanit社が昨年立ち上げた買取サービスWASTEBUY DELIVERY社(※4)と産学連携研究で実施し、その合意文書(MOU)の調印式はVichit Yathip上院議員も参加され、2024年11月25日に執り行われました。
調印に当たり、佐々木教授による講演がありました。
佐々木教授は講演の中で「市民の環境意識が低いから分別が進まない」とする行政と、「分別しても行政が一括取集するため分別の意味がない」とする市民の鶏卵の議論に終止符を打つ必要があることを説き、そのためにWASTEBUY DELIVERY社の顧客と非顧客へのアンケート調査によって市民の廃棄物分別の行動変容に関するデータを取得する本調査の目的と意義を説明しました。
後の社会調査では、本調査で実施する民間主導の取り組みの他にもコミュニティでの分別行動も比較することで、適正な廃棄物管理を促す要因を追求すると共に、他のSATREPSの調査結果も踏まえて海洋プラスチック削減に資する政策や取り組みについて提案をする予定ということです(※5)。
(※1)https://www.env.go.jp/water/inc.html
(※2)https://www.oecd.org/en/about/news/press-releases/2022/06/global-plastic-waste-set-to-almost-triple-by-2060.html
(※3)https://www.jst.go.jp/global/kadai/r0101_thailand.html
(※4)https://www.xn--22ca9gb4ei.com/
(※5)https://www.jica.go.jp/oda/project/1900843/news/1554067_45088.html
※佐々木教授の研究にご関心をお持ちの方は、下記の記事もご覧ください。
「+C」researcher「産学官で循環経済をアジア圏で構築する」