2025.02.06

理工学部教授 檀 一平太:パッケージデザインが消費者の感情に与える影響を評価

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 理工学部人間総合理工学科教授 檀 一平太は、森永製菓株式会社との共同研究で、同社の商品であるソフトキャンディ「ハイチュウ」のパッケージデザインが消費者の感情に与える影響を評価しました。その結果、新パッケージのTease*1)要素が消費者のポジティブな感情を引き出すことが明らかになりました。

商品写真提供:森永製菓株式会社

 この研究では、パッケージ評価にサイコメトリクス*2)の手法を用いました。具体的には、外部からの刺激が個人の内的要因を通じて最終的な反応を引き起こすプロセス「SORモデル(Stimulus-Organism-Responseモデル)」から消費者の購買意思決定プロセスを理解しました。SORモデルは、消費者の購買行動を「刺激(Stimulus)」、「生体内条件(Organism)」、「反応(Response)」の3つの要素に分けて分析するもので、マーケティング戦略を立てるために活用されています。
 今回、1000人規模の消費者調査によって、ハイチュウの現行パッケージ・新パッケージがどのような刺激を与え、それが最終的にどのような行動を引き起こすのか推定しました。

 ✔Study1 現行パッケージを用いて、ハイチュウのパッケージにおけるSORモデルを作成(探索的モデル)
 ✔Study2 現行パッケージを用いて、Study1で作成した探索的モデルの確からしさを検証(確証的モデル)
 ✔Study3 Study2の確証的モデルをベースに、新パッケージのTeaseの効果を検証

 その結果、現行パッケージと新パッケージの共通点として、消費者のポジティブな反応を引き出すために重要な5つの要素が確認されました。それは、「品質の高さや信頼感(Perceived Quality)」、「見た目の良さ(Package Appearance)」、「五感に訴える魅力(Sensory Appeal)」、「感情に訴える魅力(Mood)」、「おいしさの想起(Reward)」です。さらに、新パッケージにはTeaseが含まれており、これが商品の価値観を損なうことなく、「親しみやすさ(Familiarity)」を有意に少しだけ向上させ、「新奇性(Novelty)」も少し向上させる傾向があることが分かりました。

 詳細については、森永製菓株式会社のプレスリリースをご覧ください。

図1:ハイチュウの価値を表すSORモデル
図2:Teaseによる 親しみやすさ(Familiarity)と新奇性(Novelty)への影響

■用語解説
*1)Tease:いたずらのこと、今回の場合はデザインの“仕掛け“。
*2)サイコメトリクス(心理測定学):心理的特性を測定・評価するための理論と技法を研究する分野です。具体的には、アンケートやテストを用いてデータを収集し、統計的に分析することで、個人の心理的特性を数値で評価します。この手法は、教育、臨床心理学、組織心理学などの分野で応用されています。

 また、ご興味をお持ちの方は、理工学部人間総合理工学科教授 檀 一平太の研究に関する、下記の情報もご覧ください。

  檀研究室のWebページ http://brain-lab.jp/wp

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