※中央大学と株式会社パーソル総合研究所は2024年10月17日に共同でプレスリリースを行いました。以下は、プレスリリースの内容の転載です。
2018年に発表した「労働市場の未来推計2030」から約6年が経過し、労働市場には女性やシニア、外国人など多様な就業者が増加しました。また、コロナ禍を経て、リモートワークや副業・兼業といった多様な働き方が浸透するなど、労働市場は大きく変化しつつあります。こうした状況を踏まえ、より実態に即した労働力需給を把握するため、今回の「労働市場の未来推計2035」では、労働力不足を「人手」ではなく「時間」で捉え、対象を「日本人」だけでなく「外国人」も含めることで、より精度の高い推計を目指しました。
■労働市場2035の概観
2035年にかけて、シニア、女性、外国人の労働参加が進み就業者は増加するも、1人あたりの労働時間は減少し、労働力不足は深刻化。
■主なトピックス
<労働市場の見通し>
① 2035年、日本では1日あたり1,775万時間(384万人相当)の労働力不足が見込まれる。これは、働き手384万人分の労働力不足に換算され、2023年よりも1.85倍深刻になる。
② 就業者数(労働供給)は、2023年時点の6,747万人に対して、2030年は6,959万人、2035年には7,122万人と増加していく見込みである。
③ 性年代別にみた労働力率(労働参加率)は、2023年時点から全体的に上昇していく見込み。女性の労働力率の上昇幅が大きく、特に女性60代は20pt以上の上昇見込み。
④ 外国人就業者数(労働供給)は、2023年時点の205万人に対して、2030年に305万人、2035年には377万人と増加していく見込みである。
⑤ 就業者1人あたりの年間労働時間は、2023年の1,850時間に対して、2030年に1,776時間、2035年には1,687時間と減少していく見込みである。
⑥ 産業別でみると、最も労働力が不足するのは「サービス業」で532万時間不足/日となり、次いで「卸売・小売業」が354万時間/日、「医療・福祉」が226万時間/日の労働力不足となる。
⑦ 職業別でみると、最も労働力が不足するのは「事務従事者」で365万時間不足/日となり、次いで「専門的・技術的職業従事者」が302万時間/日、「サービス職業従事者」が266万時間/日、「販売従事者」が245万時間/日の労働力不足となる。
⑧ 都道府県別では、特に東北エリアの労働力不足率が高くなる見込みである。※労働力不足率の算出式 :(1ー「労働供給」÷「労働需要」)×100
詳細は、大学ホームページの「プレスリリース」をご覧ください。
※本調査は「労働市場の未来推計2035」プロジェクトとして、中央大学の阿部正浩教授、中央大学 経済研究所 客員研究員および下関市立大学の鈴木俊光准教授にご参画いただき、パーソル総合研究所シンクタンク本部と中央大学の共同で実施しました。
ご興味をお持ちの方は、経済学部教授 阿部正浩教授の研究に関する、下記の情報もご覧ください。