中央大学の土屋俊二准教授と山鹿汐音大学院生らを中心とする研究グループは、「光格子」と呼ばれるレーザー光による周期的なトラップに閉じ込められた強く相互作用するボース粒子注1)からなる系(強相関ボース多体系)における量子エンタングルメントの振る舞いを理論的に解明しました。量子エンタングルメントは、量子もつれとも呼ばれ、複数の粒子の間の特殊な相関を意味します。
強相関ボース多体系で、量子エンタングルメントのダイナミクスを理論的に明らかにしたのは、本研究が世界で初めてとなり、高温超伝導体など他の強相関系における量子エンタングルメントの振る舞いの理解に大きく貢献する成果です。本研究により強相関系の量子エンタングルメントの理解が進めば、強相関系の量子エンタングルメントを利用した、従来よりも遥かに高速な計算を可能にする量子コンピューターの開発につながると期待できます。
また、ブラックホールが量子効果により熱を放射する「ホーキング輻射(ほうしゃ)」と呼ばれる現象は、ブラックホール付近で生成された粒子対の量子エンタングルメントが関わっていると考えられることから、本研究の成果はホーキング輻射の原理の解明にもつながると期待されます。
本研究成果は、2023年11月1日(米国東部時間)付で米国物理学会誌『Physical Review Research』のオンライン版で公開されました。
詳細は、大学ホームページの「プレスリリース」をご覧ください。